研究レポート

イラン戦争・ホルムズ海峡封鎖後のLNG需給動向の一考察

執筆者 川上 寿夫
概要 本稿は、ホルムズ海峡周辺の施設被害と海峡封鎖が続く状況下、カタールおよびアラブ首長国連邦(UAE)のLNG供給能力縮小が世界の需給バランスに与える将来的な影響についての一つの試算結果に基づき、その結果として生じる...
要旨 本稿は、ホルムズ海峡周辺の施設被害と海峡封鎖が続く状況下、カタール・UAEのLNG供給能力縮小が世界の需給バランスに与える将来的な影響に関する一つの試算である。 現在のイラン戦争・ホルムズ海峡封鎖は、短期間には完全に収束しない可能性がある。停戦状態や封鎖解除が継続していく場合でも、供給能力の縮小や価格上昇による需要縮小の影響は数ヶ月以上持続する。 試算の結果、2026~27年は年間総量で世界全体のLNG供給能力は当初想定された需要量に達しない可能性がある。供給能力が需要量を上回る時期には波があり、イラン戦争開戦前では2つのピーク(2020年代後半・2030年代前半)があると考えていたが、戦争の結果、2030年代前半のピークのみが残る見込みとなった。供給能力と需要量が一致しないときは、需給双方で調整が行われるため必ずしも供給不足や供給過剰が表面化するわけではないが、実質的にLNG市場の成長速度が数年分鈍化することになる。 2022~26年のわずか4年間に大規模なLNG需給バランスの変化が複数回発生したこと、今後もLNG施設への攻撃やチョークポイントの封鎖は繰り返し発生する可能性があることを考慮し、エネルギー安全保障の観点からLNG調達戦略に変化が発生すると考えられる。
キーワード ホルムズ海峡、LNG市場、LNGの供給過剰
メディア情報 HP (2026年7月9日)
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